好きな人が、慕う人が、想う人が居たとして。
私は彼に何を望むのだろう。何を望んでいいの。身勝手に好意を寄せているだけなのだから、彼からの私への行為などは望めるはずないのにね。
卑屈ですよ、どうせ。私は私に何か特別な佳い物があるなんて微塵も思いませんので。
私はすぐに人を好きになります。
例えば、名前を知っている、それだけで、とか。
例えば、否、例えるまでもなく、理由もなく。好きになります。
好きな人の仕合せを。
出来るなら何か私にしてあげられることがあれば、それこそ私の至高の仕合せなのに。
はずかしい。
好きな人の想い人が誰でもいい。
私であったらなんて、考えるだけでも失礼でしょう。
好きな人が、想い人と仕合せになれたら、なんて想像するだけで、嗚呼仕合せです。