優しい声。透明な声。熱のある声。小さな声。電話の先の声。唄う声。あの人の声。
何もかもを無くすのだから、せめて声だけを下さい。そう思うときがある。
私はすべてを差し出します。
あなたの声だけでも、私のものにさせて下さい。
かなわぬ願い。
すべてを差し出すこと。
声を下さい。御願いします。
独り、暗いところで想っていると。声が聞こえる気がして。
私を呼ぶ声。名前を、呼んで。
ああ、呼んで欲しかった。呼んで欲しい。
目の前にいる 錯覚。
夢なのかも分からない。独りのときは、確認する手を私は持たないから。
覚えてる、声。
call me.
もっと、呼んでよ。もっと、声を聞かせてよ。もっと、もっと、もっと。
~~~~~
さて、今言ったように、私は人から名前を呼ばれる錯覚に囚われるときがあります。
眼をつぶって、暗いとき、眠る前に。そんな事になります。
声が好きな私です。
それはもう、好きな人の声には感じます。
歌う声も、どの声も。
できれば、口元に耳を当てて聞きたい。