お話をしよう。
物語。
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世界には、たくさんの人が居る。其れはもう多くてね、全員の事なんて誰も把握できない。
屹度、神様だって分からないだろうね。
色んな人がいる。
大きな人
小さな人
男の人
女の人
初めて文字を作った人
初めてベーコンを作った人
卵を割るのが得意な人
上手く鉛筆を削る人
歌う人
聴く人
あの人
此の人
君
私
14人よりは、もう少し、もっと多い人がいるね。
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今日は、誰の話にしよう。
祝福と生まれた人の話。
チコのお話。
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角の祝福。
いずこの空と、いつかの海に。
証し。
ずっと昔から。女神の声が満ちていた、あの時代から。
チコには角が生えていました。
祝福に包まれた、それを。産まれてすぐに、チコは無くしてしまいました。
悪魔のように、真っ黒く。若葉のように、水を含んだ、手が。それを持ち去ったのです。
まだ、未々小さな角。
王様は、大人(その国では14歳)になったチコをお城に呼びました。
祝福を失いながら生きたチコに、選択を為せるために。
チコは神様に遣えることを決め、草と雲の仲を繋ぐ風に成りました。
そして、祝福のそれは石のような物に成りました。
やがていつかはあなたの子らにも。