徒花外連味

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「結城智恵と函南友子の長い趣味」

 私は函南友子を知っている。幼稚園が同じだった、小学校と、中学校と、高校と、学び舎を共にした。大学を辞めて故郷に帰ってからも交流は、今も続いている。
 私、結城智恵は目を患ってから指を使わない暮らしをしているけれど、友子は対照的に、多芸であった。友子は手仕事・習い事をしょっちゅう取り替えては日日色色な小物・大物を制作していた。器用さはギターの弦を爪弾くにも使われ、友子は指先の手入れを欠かさない。友子のその時の趣味を聞く私、これが、私達の関係となっている。私には話題はなくっても、友子が勝手、いつもネタを集めていて、友子が話をしたいときに、私は彼女の部屋に呼び出される。友子はヘビースモーカーで、いつも珈琲を飲んでいる。体に悪そうだけれど、本人も依存しているというようなことを聞く。私達は共にお酒を飲めない体質ということは、少ない共通点かもしれない。友子の部屋、煙草で燻され珈琲の香りに満ち飼っている小動物の少しの匂いが混ざっている。その香りに、ミシンの匂いだったり、湿らせた蔦の匂いだったり、粘土の匂いだったり、絵の具の匂いだったり、生花の匂いだったり、その時その時に好奇心の向かっている先からの匂いが足されていく。
 私が行くと、(持参したお菓子に合わせて)珈琲を淹れてくれる。淹れている時は沈黙が流れる。挽きたての豆の良い香り。豆の説明。この時間が、匂いに敏感な私には、とっても幸福なのだった。
 この前、友子は何時にも増して饒舌に、新しい遊びの区分を見つけたと、語ってくれた。味わいや喜怒の表現を多用する友子の言葉は、長い付き合いだからか、随分と省略されている。有り難い、事である。
 *わたしについて。

Author:Torno Kuyomo Reico
ともです。

江国湖畔に住んでいます。イタチ飼いでした。
嗜む程度に莨と珈琲依存。趣味は繰り返すこと。好きな人や物が多すぎたはずなのに、思い出せないのだわ。

風にあたると風邪を引く。





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