徒花外連味

ともの2。 TOMO's since 2005

焦点。

初めて意識したのは横顔を見たとき。

正確には、遠くをまっすぐ見つめるあの人の目を見た時。

驚いたの僕は理由を探した。どうしてあの横顔に驚いたのだろう。どこが違う。どこが不自然。

彼女の目は特別に大きいわけでも、二重が綺麗なわけでも、睫毛が豊かなわけでもなかった。ただただ、見つめる視線に驚いたとしか言い様がなかった。

じっと見ていたから、目が合う。

目に焦点が合って、周りが薄らぐほどに。一瞬とらわれて、すぐに軽く会釈を交わして視線を流す。

それから彼女を見てしまうようになった。

相手に悟られずに見る、というのは難しい。特に相手の瞳を見ようとすればすぐにでも視線がばれる。

気付いたのは瞳の大きさ。黒目が少し小さいこと。

正面から見つめると 上目遣いのような視線を相手に感じさせる目だった。

調べると そういった目の名前を見つけた。言葉の概念。

特別な形質。個性レベルでしかないけれど。

「人相学では最悪の相として『凶相』に分類されている。

 人相の悪さや、鋭い きつい印象を与えることがある。

 男女問わず独特の色気を醸す要素として、好意的に評されることもある。」

彼女のイメージと重ねてみる。言葉に出来なかった感覚、印象の言語化が辞典によってなされる。最悪の相・・・最悪という言葉が口語ではないんだと思って少し可笑しくなる。

それから、彼女のことを考えた。あの人はこの言葉を知ってるのだろうかと。

それ以前、自分の目のことに気付いているのだろうか。

そして、周りの人たちは。

・・・。

きっと知っているだろう。自分のこと、当然。

どう思ってるんだろう。気にするほどのものではないのかもしれない。

どう思ってるんだろう。

しばらくして、僕が彼女の目ではなく彼女を特別視しているだけだと気付いた。

それから、人に会うと目を見てしまうクセがついてしまった。

 *わたしについて。

Author:Torno Kuyomo Reico
ともです。

江国湖畔に住んでいます。イタチ飼いでした。
嗜む程度に莨と珈琲依存。趣味は繰り返すこと。好きな人や物が多すぎたはずなのに、思い出せないのだわ。

風にあたると風邪を引く。





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